リスクとは何か?
リスク=危険性じゃない?
HIRA (@Open_JP) と申します。今回の記事では、資産運用におけるリスクをテーマとします。
教科書的に書かれていることをふまえつつ、一部で私見を述べております。
ご承知おきください。
投資における「リスク」の意味
まずはじめに、投資の世界におけるリスクの意味について確認したいと思います。すでにご存知の方も多いとは思いますが、日常生活で用いる意味とは少し異なります。恥ずかしながら私は、暴落が起きる危険性、価格が下がる危険性、という意味だと思い込んでおり、投資をはじめてから数年もの間、ずっと勘違いをしていたのです。
以下の図をご覧ください。
ご覧の通り、投資の世界の「リスク」とは、価格のバラつきを示すのです。よって標準偏差(SD; standard deviation)で示すこともあります。
したがって、損失を出す危険性という意味ではなかったのです。将来いくらになるか分からない、不確実である、その分布を示す変動幅こそリスクという意味なのです。
投資信託の一例
運用報告書を見てみよう
では一例として、先進国株を対象とする投資信託、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの運用報告書(2016年1月公表)の参考情報をみてみましょう。出典:ニッセイアセットマネジメント |
この表は騰落率を示しております。つまり定義された5年間で1年毎に価格が±何%動いたかということです。箱の上限と下限は騰落の最大と最小の数値を示しています。この変動幅こそリスクの大きさということになります。
そして各アセットクラスにおいて平均値が示されておりますが、これがリターンを意味するところとなります。
すると以下のことが分かります。
リスクの高いもの=バラつきの大きいものは、リターン(平均値)が大きい傾向にあります(株式の変動幅が大きいことがわかります)。
リスクの低いもの=バラつきの小さいものは、リターン(平均値)が小さい傾向にあります(債券、特に日本国債の変動幅が小さいことがわかります)。
リスクプレミアム
リスクとリターンのトレードオフ
大きなリターンを目指すためには、価格が上へ下へ大きく動くことを許容する、すなわちリスクを取る必要が生じるのです。なぜでしょうか。商品A リターン5% リスク20%
商品B リターン5% リスク10%
この二つの商品があったとします。すると、商品Bしか売れないはずです。リスクに差があるのにリターンが一緒なのですから。
商品Aがもっと安ければ、買う人が現れることでしょう。したがって市場では商品Aの価格が下がります。すると1個あたりの価格が下がるので商品Aをたくさん買えるようになり、一定金額あたりのリターンは増えるはずです。
例えば、10円のリターンが得られる商品A×1個が「100円→50円」に価格が下がったら、100円で商品Aは2個買えるようになりますから、100円当たりのリターンは2倍になります。このように、リスクが高い商品は、高いリターンが得られる価格に、市場で調整されるのです。
この例のように、リスクとリターンの間にはトレードオフが成立します。そして、リスクの高い分だけ、リターンが上乗せされます。この上乗せ分を「リスクプレミアム」といいます。これは全ての投資に当てはまる大切な考え方ですので、あわせて覚えておきたいものです。
ご覧いただきありがとうございました。