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【100年時代】30代社員が老後資金をザックリ試算してみた。



老後に、いくら必要なのか?

資産運用の目標を考えるために

HIRA (@Open_JP) と申します。

今回の記事では、老後資金についてまとめてみました。結局のところ、いくら必要なのか、私自身が知りたくなったからです。老後、すなわちリタイア後に必要となる金額は、資産運用の目標金額を考える上でも、大事になってくると思います。

積極的にアーリーリタイアを目指す場合も、将来必要な金額をおおよそ把握できていれば、速やかに判断できることでしょう。

人生100年時代へ

今の時代、長寿化が進んでおり、自分も長生きする可能性が十分にあります。平均寿命は、今も延び続けており、今後のテクノロジーの進歩も享受できるとすると、現在の平均寿命よりも長く、余裕をもってライフプランを考える必要があると考えました。

そこで、ベストセラー書籍「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」でも言及されているように、100歳まで生きると仮定して試算してみました。ちなみにこの書籍は、自由民主党、経済産業省の政策にも引用されつつあり、実際に「働き方改革」において、徐々にメッセージが含まれてきております。



老後資金の試算:試みの計算

65歳から100歳まで
(年金受給まで)


まず、年金の受給期間である65歳から100歳までの約35年間を考えてみました。

年金の受給額をザックリと把握しておきたいと思います。一般的に、新卒で入社して退職まで会社勤めであったとすると、だいたいの年金受給額は月20万円だそうです。なお、今までに納めた金額や期間をみたいときや、受給額のシミュレーションをしたいときには「ねんきんネット(日本年金機構)」が活用できます(ご参考までに)。

そして生活費を考えます。生活水準が高い方や、老後に旅行など楽しみたい方は、多めに見積もる必要があります。また高齢になると、もちろん医療費などがかかるようになりますから、現役時代よりも余裕をもって試算したいところです。

総務省の調査によると、世帯主が60歳以上で無職である世帯(世帯員が2人以上)の家計をみると、消費支出は約24.8万円との数字が出ています(公益財団法人 生面保険文化センター)。わが家の家計簿をみても、この数字で差し支えないように思えたので、これで仮定して考えます。

すると、贅沢をしなくとも毎月5万円足りないということですから、これを以下の数式に当てはめますと、月5万円の不足×12ヶ月×約35年間=総額2100万円。これが年金が受給される65歳から100歳までの約35年間で、ザックリと必要となる金額です。

(毎月の生活費-年金の受給額)
×
老後の期間(65歳~100歳)

⇒ 総額 2100万円

退職60歳から64歳まで
(年金受給までの空白)


次に、60歳から64歳までの5年間を考えてみます。

現行制度では、年金の受給開始が65歳であることは、皆様ご存知の通りです。退職を60歳とすると、よくいわれる「空白の5年間」が待っています。何もないんです。これは厳しい。だからこそ老後に備えよといわれるのです。

(なお、受給の「繰上げ・繰下げ」については、ここでは考慮せず、ニュートラルな状態で考えます。ベースの数字を覚えておき、時の制度に照らして判断しましょう。この制度も変わる可能性は大いにあるはずです)

単純に消費支出のみ・無収入として、上記の生活費である月25万円で5年間生活すると仮定しますと、必要な金額は総額1500万円です。

(毎月の生活費)
×
空白の期間(60歳~64歳)

⇒ 総額 1500万円

仮に受給開始年齢が70歳に制度改定となった場合(その可能性は高いでしょう)、空白期間が10年間と倍になりますので、総額3000万円が必要となります。もし政府が検討に入ったとき、この金額が頭に入っていれば、自分にどれだけ影響があるか、すぐに判断できるはずです。

それでは、合算します。



今後、公的年金がなくなったら心配だよ…という声をよく聞きますが、それ以前に、年金が今のままであったとしても、老後資金のハードルは非常に高いのです。万が一、年金がなくなったら…老後に生活できない人、生活保護に陥ってしまう人が大多数となるでしょう。ヤバイです。



退職金があるから大丈夫?

多くの会社員はお金が不足する


ちなみに頼りの退職金ですが、厚労省や内閣人事局の調べによると、新卒で入社して退職まで会社勤めを全うしたとしても、大企業(経団連)や国家公務員約2400万円中小企業(東京都)は約1400万円となっております(2014年資料)。

会社人生を全うして退職金を得たとしても、大企業・国家公務員の共働きパワーカップルでもない限り、世帯に不足額が発生する可能性が高いのです。老後の生活防衛のため、現役世代の頃より、貯蓄と投資による資産形成をおこなう必要が生じているように感じられます。

今の日本はデフレ環境下であり、低金利であるため、旧世代の資産形成で一躍を担った定期預金や貯蓄性保険は、その存在価値を失っております。銀行の利子は数円程度でしょう。まったく意味がありません。

では、何をすべきなのか。前世代の意見(ロールモデル)を鵜呑みにせず、今の時代と真剣に向き合って考えることが、一人ひとりに求められているように感じております。余裕のない日本国や会社は、面倒をみてくれるはずがありません。自己責任の社会にシフトしていくはずです。




シニア雇用という選択肢


空白の5年間」である60歳から64歳の間は、シニア雇用あるいは現役として就労することが、もっとも現実的かもしれません。仮に最終年収から半減して年収300万円になったとしても、5年間で1500万円を確保できます。

そのためには(心身ともに)健康であることが重要な資産となるでしょう。私も、健康診断精密検査は、しっかりと受けるようにしています。人的資本(労働者であること)は、普通のサラリーマンにとって、最も価値ある資産に間違いありません。自分のメンテナンスは、自己責任でしっかりと行いたいものです。

あるいは資産運用の成果として、退職までにまとまった資産形成ができていれば、インカムゲイン(配当収入)が得られる仕組みを構築できていることでしょう。この場合、もちろん資産額と経済情勢にも依存しますが、不労所得により、不足する月5万円を補填することは難しくないかもしれません。これにより、65歳から100歳までの間は、働かずとも、生活費を捻出できる可能性があります。

シニア雇用は働くこと。これは労働者であり続ける選択肢です。あなた自身の"老後の時間"を切り売りして、お金に換える選択肢です。退職まで運用できる時間が残されているのであれば、働かなくて済む(自分の大切な時間を売らなくて済む)ための将来にむけた選択肢があるはずです。




年金受給の繰下げという選択肢

現行の年金制度における選択肢として、年金受給を繰下げる(遅らせる)ことが検討できます。

現行制度では、年金受給を繰下げることによって、受給額を増額することができます。1ヶ月遅らせるごとに×0.007(×0.7%)の係数が掛けられます。最大の受給繰下げは、70歳0ヵ月です。最大の70歳まで繰下げた場合、受給額は+42%となります。

上述の年金の例であった月20万円を+42%すると、年金受給額は70歳から月28万円となります。

先ほど申し上げたように、老後の消費支出は約24.8万円でしたので、70歳以降は年金だけで賄える計算となります。逆に「空白の期間」が60歳から70歳0ヶ月までの10年間に広がりますので、先の計算と同じになりますが、総額3000万円が必要となります。

(毎月の生活費)
×
空白の期間(60歳~70歳)

⇒ 総額 3000万円

あくまで現行制度における試算になります。繰下げ制度にも、メスが入る可能性は高いのではないかな、と私は思っております。

資産運用を行う上では、往々にして悪いシナリオを想定したほうが賢明です。私の受給開始は四半世紀も未来であり、これは受給直前で判断できる選択肢です。今から「これがあるから大丈夫」と楽観視することは避けたいと私は思っております。



今後も政策に注視していきたい

厳しい制度改正となる可能性が高い

今後、年金や老後にかかわる制度は、国家財政健全化の議論の中で、どんどん変わっていくでしょう。自分の老後を大きく左右する話ですので、ザックリとでも、理解するようにいきたいですね。関連ニュースをきちんとキャッチして、細かく金額を算出する必要はないにしても、変化に応じて「自分の見積もり」を更新していきたいものです。がんばっていきます。

ご覧いただきありがとうございました。