人気記事

【老後に備えよ】節税できる最優先手段。確定拠出年金を活用しよう。



確定拠出年金を考えよう

はじめに

HIRA (@Open_JP) と申します。

今回の記事では、確定拠出年金について述べたいと思います。

お勤めの企業によっては、企業型確定拠出年金(企業型DC)として、退職金制度に組み込まれているところもあるでしょうか。

また最近はマネー雑誌等でも、しばしば取り上げられるiDeCo(個人型確定拠出年金)を知って、ご自身で加入した方もいらっしゃるかと思います。

いずれも確定拠出年金であり、特に、老後に向けた資産形成において、大変重要な役割を担います。


確定拠出年金は得なのか

これを理解する時間は有益だ

確定拠出年金は、少し複雑な制度です。全て理解しようとすると、徐々に眠気がやってくる類の話です。

ただ、制度を覚えることが目的ではないですよね。皆様にとって必要なのは、ご自分にとって「得なのか、損なのか」。各々の状況に照らし合わせて、本制度を利用するか、ジャッジする。これに尽きるわけです。

そこで簡単に、メリットとデメリットをご案内していきますので、「あ、もしかしたら自分にとって利点が大きいかも」と思った方は、さらに詳しく調べてみることをオススメいたします。これを理解する時間はムダにならないはずです。

基本的に、メリットが非常に大きい制度となっております。むしろ知らずにいることは、大きな機会損失といっても過言ではありません。


確定拠出年金のメリット

これも国が定める優遇制度

確定拠出年金は「国が定めたルールの中で、資産運用(投資や貯蓄)を行う制度」と表現することができます。

自己責任の資産運用でもあり、年金の一部でもあります。「毎月確定している金額を、掛金として拠出し、各々が資産運用しながら、積み立てていく年金制度」なのです。

この国が定めたルールが、多くの国民にとって非常に大きなメリットとなる制度となっております。



1つ目のメリット:積み立てる時

掛金分が控除されます。

毎月の給料から「掛金」を投じていくわけですが、掛け金については「全額控除」とすることができます。つまり、確定拠出年金に投じるお金は、税金の対象としてカウントされないのです。企業型の場合、天引き(源泉徴収)をスキップして、全額そのまま資産運用に回すことができます。

これは非常に大きいことです。皆様、特に年収の高い方ほど、天引き(所得税・住民税)のパーセンテージは高くなります。普通のサラリーマンでも、給料から20%前後は、国や自治体に奪われている現状ではないでしょうか。

例えば、掛金2万円で考えてみましょう。お給料のまま2万円を受け取ると、天引き20%で4000円ほど、お上に納めていることになります(自覚しにくいですが)。したがって、手取り16000円となります。普通に貯金をしたり、証券口座で投資をする場合には、手取り16000円を使うことになります。

これに対し、確定拠出年金ですと、満額2万円が元本になります。天引きをスキップすることができる。これが本制度における規格外のメリットです。毎月数万円…これを60歳まで継続した場合の好影響は、計り知れません。

2つ目のメリット:運用中

運用益が非課税です。

通常の投資の場合、値上がりして儲かっても、運用益に対して、通常20.315%の源泉分離課税となってしまいます。つまり、値上がりして1万円ほど利益が出たとすると、約2000円を国に納めるルールとなっているのです(いくら納めたことか…)。投資は国に貢献できる活動なのです、とてもいいことです。

しかし、確定拠出年金の成果として得られた運用益は非課税となります。ここでも税金が免除されるのです。

例えば、商品Aで1万円利益が出たのち、商品Bに乗り換える(スイッチングする)としましょう。通常のルールですと、商品Aを売却した時点で1万円の利益に20.315%、約2000円が課税され、手元に差し引き8000円が残るかたちとなります。

これに対し、確定拠出年金の場合は、運用益の満額1万円を受け取り、商品Bを買付することができるのです。もちろん商品Bを多く買うことが出来ます。したがって、老後資金の形成を目的とした制度ではありますが、特に売買頻度が高い場合、規格外のメリットを享受できるのです。

3つ目のメリット:受け取る時

受給時も税制優遇です。

いよいよ60歳となり、受給が始まるときの話です。この時にも控除を受けることができます。また税金から逃れることができるのです。確定拠出年金の受給方法によって異なりますが、一時金であれば退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象となります。もっとも、会社の退職金や個人年金に応じて調整・判断する必要はありますが、受け取る時に控除の対象となることは、大きなメリットのひとつです。

したがって、大企業にお勤めで退職金がたくさん貰える場合や、勤続年数が長くてたくさん年金が貰える場合には、このメリットが小さくなります(つまり、他にもたくさん貰える人は、流石にあなたは貰いすぎですね、税金納めてね、となるわけです)。






確定拠出年金のデメリット

60歳まで現金化できない

最大の特徴であり、ほぼ唯一のデメリットは、60歳まで現金化できないことです。60歳まで資産が拘束されます。途中で解約して、現金化することができません。

逆に返すと、貯蓄が苦手な方には良いレギュレーションになるかもしれません。したがって、確定拠出年金とは「60歳以降に使うお金」のための資産運用、すなわち老後のための資産形成を、行うためのツールなのです。

また、確定拠出年金の管理・運用において、いくつかの手数料が求められるケースがありますが、上記のメリットに比して、微々たるものと判断できますので、ここでは割愛させていただきます。

ここまでの内容で「自分にもメリットがあるかな」と感じていただけた方は、ぜひ、情報収集を進めていただければと思います。


公的年金と確定拠出年金

年金制度における位置づけ




上の図は、厚生労働省のホームページ「確定拠出年金の対象者・拠出限度額と他の年金制度への加入の関係」より引用した年金の構造を示す図です。

本記事を書くにあたって私も再確認したのですが、確定拠出年金(DC=Defined Contribution Plan)は、年金の一部であるため、金融庁の管轄ではなく、厚生労働省の管轄になるのです。

ご存知の通り、全国民が対象となる1階部分が国民年金(基礎年金)、主に会社員が対象となる2階部分が厚生年金保険

そして、本記事でご案内の3階部分が確定拠出年金です。

確定拠出年金は、大きく2タイプ
(1)企業型・・・企業型DC
(2)個人型・・・iDeCo

2タイプのどちらに自分が該当するか。それは勤務先の制度に依って決まります。

お勤めの会社に企業型DC(会社が掛金を出してくれる)が採用されている場合、図の赤枠がある2つのいずれかになります。企業型DCが採用されている場合でも規約により、個人型(iDeCo)を併用できる場合がありますが、多く方においては(1)企業型DC(2)個人型(iDeCo)のいずれかということになるでしょう。

会社の規約(福利厚生・退職金制度)に完全に依存するものですので、お勤め先の人事部・総務部にお問い合わせいただければと思います。

また、企業型DCの場合、会社が出してくれる掛金にプラスして、自分の給料から掛金を上乗せする「マッチング拠出」が導入される会社も増えてきました。マッチング拠出のメリットは、確定拠出年金のメリットそのものですので、無理のない範囲で「最大限の活用を検討すべき」だと考えております。私は、持ち株会より優先すべきだと思います。




一方のiDeCoですが、最近の制度改定により、加入できる範囲が一気に広がりました。企業型DCが採用されていない企業にお勤めの方でも、公務員の方でも、専業主婦の方でも。多くの方に、確定拠出年金の選択肢が加わったことになります。

上記の図のように、ほとんどの国民が取り組めるようになっております。ただし、誰かが丁寧に教えてくれるものではありません。ご自身で本制度に気づき、ご自身で証券会社などに口座を設けて、開始する必要があります。

私自身が企業型DCであり、iDeCoの経験がございませんので、本記事では割愛させていただきます。ただし、ここにおいても、証券会社の口座開設同様、手数料等において「ネット証券」にアドバンテージがあると耳にしております。


最後に

自己責任の社会へ

確定拠出年金の存在意義について、持論を述べたいと思います。

なぜ、ここまで優遇されているのでしょうか。年金制度の3階部分にある意味とは何でしょうか。

ご存知の通り、今の現役世代において、年金の受給開始年齢は65歳、もしかすると今後、さらに高齢になるかも、といわれております。退職60歳とすると、年金受給開始の65歳、70歳、75歳までの空白をどうするか。ご自身が健康だと働くことも出来ますが、60歳になっても、まだ働かなければならないのでしょうか。

制度は整えてやった、あとは自分でやれ」というのが、おそらく国の本心です。自己責任で、積極的に活用していくしかないのです。うまく活用して、皆でハッピーになりたいものですね。

ご覧いただきありがとうございました。