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【外注費用と心得よ】WealthNavi ウェルスナビの手数料は割高か。

出典:ウェルスナビ株式会社 ホームページ


はじめに

フィンテックの先駆け

今回は、投資家界隈で最近よく話題となるロボアドバイザーのひとつ、WealthNavi (ウェルスナビ) について、少々細かく調べた上で、私が感じた点を述べてみたいと思います。

意外にもロボアドバイザーをはじめる方には投資経験者が多い印象があります。

長年の間、金融業界が顧客を「ダマす」ことで、高コストの(例えば維持コストである信託報酬がべらぼうに高い、申込時に他商品にはない手数料を取る)金融商品を売りつけ、利益を蓄えてきた歴史を思うと、ここまで良心的なサービスが出てきたのか、と感無量です。

ただし、これも金融商品ですので、①得られるサービス②支払うコストの両面をみて、やるか、やらないか、判断することになると思います。疑いの目をもって、2つの視点で考えていきます。


① 得られるサービス

資産運用の自動化

ロボアドバイザーという名から、しばしば誤解される方もいらっしゃいますので、先に申し上げておきますと、本サービスは「ロボットが有能なファンドマネージャーとなり、損失しない、利益を出し続ける、というものではない」ということです。

なぜなら、本サービスを一言で述べるとすれば、「国際分散投資をおこなう"ポートフォリオ管理の自動化"」になるからです。相場に投資対象を臨機応変に変化させるアクティブ運用ではないのです。(つまり、インデックス投資です。だからこそ良いサービスといえるでしょう)

出典:ウェルスナビ株式会社 ホームページ


一度でもインデックス投資をされたことのある投資経験者なら、上図の投資の流れは、すぐに理解できるかと思います。いつもやっていることです。

そして経験のある方ほど、各々にかかる手間がいかほどか実感されていることと思います。 しかも、各々のステップでは心理的なバイアスが発生しやすく、合理的な判断が阻害されるケースがあることも、経験されていることでしょう。

それゆえ、投資経験者の方がメリットがすぐに理解でき、興味を持ってはじめる方が多いんだろうな、と思う次第です。私もそのひとりです。

ポートフォリオ管理

では実際の中身を見ていきましょう。先に申し上げたとおり、このサービスの本質は「国際分散投資の自動化」です。

国際分散投資を行う個人投資家のアクションが、上図における自動発注であったり、分配金の再投資であったり、積立(追加投資)であったり、リバランスをすることであるわけです。したがって「国際分散投資をよく知っておく」ことが、本サービスを受ける上で大事になってくるでしょう。

では、国際分散投資を再度確認します。

ウェルスナビの投資理論

出典:ウェルスナビ株式会社 WhitePaper


国際分散投資とは、投資対象を日本に限定せず、世界に広げることにより、世界中の様々な国の経済成長の恩恵を享受できるように資産をもつことです。

広く投資をすることで分散効果が高まり、リスクを低減させて効率的なリターン獲得を狙うことができます。ここまでに議論の余地はないはずです。

具体的には、投資対象となるアセットクラスが株式・債券・金・不動産と多様になっています。そして値動きが逆相関にあるものを上手く組み合わせることによって、資産全体の変動(リスク)を抑えていくのです。これは、あるイベントが起きた時に上がる資産下がる資産をバランスよく持つことで、リスクを打ち消しあうという考え方です。

公式ホームページにもあるように、この投資法は、1990年にノーベル賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏の「現代ポートフォリオ理論」によるもので、パッシブ運用、インデックス投資を行う個人投資家の全員が無視できない、礎となっている大変重要な理論です。

これをもとに自動で計算・売買・管理・最適化してくれるサービスが、 WealthNavi (ウェルスナビ) の本質と捉えてよいと思います。

出典:ウェルスナビ株式会社 WhitePaper


ウェルスナビの投資対象

ウェルスナビが実際に投資する金融商品は海外ETFと呼ばれるもので、世界最大規模のファンド群です(証券取引所に株式のように上場されている投資信託をETFといいます)。

海外ETFは、純資産総額(ファンドの規模)、流動性(流通量、換金のしやすさ)、経費率(コスト)といった様々な観点からみて、本物の専門家がマトモな議論をして導き出した、最適解になっていると思います。

いずれも個人投資家から支持されているものばかりです。実を申しますと、私自身も海外ETFを直接買い付けることで、国際分散投資を自分で行っておりますが、実際に保有しているファンドがいくつか組み込まれています。自分の大切な資産を長期間投じる投資に、うってつけのファンドだと思っております。ここに関しては100点満点です。

出典:ウェルスナビ株式会社 WhitePaper



② 支払うコスト

手数料は基本1% (年間)

出典:ウェルスナビ株式会社 ホームページ



個人投資家が資産運用を行う上で最も気にしているのは、リターンを蝕むコスト(手数料)に違いありません。さてどうでしょうか。

本サービス利用で支払うコストは、シンプルに預かり資産の年率1%となっております(3000万を越える部分は年率0.5%、ほか長期の信託によるディスカウントもあるときいております)。

なお、ご存知の通り、実際には年会費のように自分で支払いを実施するわけではありません。手数料は預かり資産の年率1%になるように、毎日マーケットで付く値段に対して自動計算されます。この合計額が翌月1日にまとめて、預かり資産の現金部分から引き落とされるのです。これも自動ですね。


所感

個人投資家としてのジャッジ

正直に申し上げてコストが高いと思います。もろ手を挙げてオススメできません。もし投資ブログで大絶賛されていたとすれば、著者がただの無知であるか、著者がアフィリエイトで買収されているか、いずれかを疑ったほうがよさそうです。

しかし、海外ETFが投資対象であるにもかかわらず、為替関連コスト売買手数料発生しないと明記されております。こうなると単純比較は難しいです。WealthNavi (ウェルスナビ)では、リバランス・分配金再投資が小まめに実施されるからです。

仮に自分で海外ETFへの投資を行うとなると、外国株式の証券口座を用いて、外国株式の売買手数料を費やすこととなります。業界TOP水準のSBI証券であっても、取引1回あたりの売買手数料の下限額は$5です。頻繁に取引を行うことは難しく、売買手数料負けしないように、$1,111(約12万円)以上の発注をされている方が多いようにお見受けします(ただし、一般NISAの場合、売買手数料が無料となるネット証券もあります)。

とはいえど一般的に投資金額が少ない場合の最適解は、投資信託になるはずです。ノーロード(売買手数料は無料)で、コストは信託報酬(年0.2%前後)のみになるためです。また100円という少額から購入することも出来ます。

したがって、個人投資家の場合、以下の条件①~⑤が、ほとんど当てはまる稀な場合においてのみ、WealthNavi (ウェルスナビ) が選択肢に上がると思います。①~⑤の条件がほとんど当てはまらないならば、最適解は別のところにあるでしょう。

① 絶対に海外ETFに投資したい
一般NISAが活用できない
投資額が比較的少ない
リバランスを小まめにしたい
分配金再投資を小まめにしたい

完全な外注と考えるならアリか

個人投資家の視点では、高コストで出番はないという判断を下しました。

しかし視点立場をかえて、本サービスを受けるということを、国際分散投資のアウトソーシングと捉えるならば、異なった風景がみえてきます。WealthNavi (ウェルスナビ) は、アウトソーシングと述べても問題ないくらい、高い完成度を誇っていると思います。

今は仕事に集中したいと思っている方。今は家事や育児で忙しいという方。投資の勉強したり、パソコンに向かう時間をつくることが出来ない方。こういった方に対するお金の提案、あるいは時短のサービスと考えると判定は変わるかもしれません。

本格的に資産運用を行うには、自己研鑽メンテナンス(情報収集、売買、税金対策など)が必須になるからです。

私自身は、投資が趣味(株価指数や為替レートの動きを感じていたい投資マニア)なので、資産運用の中心に WealthNavi (ウェルスナビ) を据えることは将来もしないでしょう。投資関連の情報収集の一貫として、口座開設の手続きしてみた次第です。ひと通り触ってみたところ、絶対に止めたほうがいい、と感じるところはありませんでした。やはり高コスト問題はココだけです。逆にコストが大きく改善されたとき、私は大いに悩むことになるでしょう。

出典:ウェルスナビ株式会社 ホームページ


国際分散投資のアウトソーシングするという選択。スマホのアプリで管理ができる点は、アウトソーシングの管理としては最適だと思います。これに対し、年率1%の手数料をどう考えるか。投資の知識と経験によって異なってくるでしょう。

たしかに、資産運用は難しい時代を生きる現役世代にとって必須スキルになりつつあります。資産運用を早期から実践するために、取り急ぎ WealthNavi (ウェルスナビ) をはじめることは、ひとつの選択肢になるでしょうか(ただし、いずれは自分で勉強して資産運用の知識をキャッチアップさせる必要性に迫られることでしょう)。

ご覧いただきありがとうございました。


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