もっと米国の小型株に投資したい
VTI や VOO を補いたいとき
HIRA (@Open_JP) と申します。今回は「小型株効果」に期待するとき、選ぶべき海外ETFを比較してみたいと思います。
市場全体を測るインデックスの多くは、時価総額加重平均を取っているため、構成銘柄の分布は、金額ベースで大型株が殆どになってしまいます。
したがって「もっと小型株をポートフォリオに取り込みたい」と考えるとき、小型株ETFのトッピングを検討しなければなりません。
VOO(Vanguard S&P 500 ETF)
VTI(Vanguard Total Stock Market ETF)
小型株効果とは
そもそも小型株効果とは、アノマリー(明確な理論や根拠があるわけではない。当たっているかもしれないとされる相場の経験則)の一つとされております。小型株効果は未だコントラパーシャルな(論争の余地がある)状態とされているのです。一般的に、小型株は、アップルやトヨタ自動車などの大型株と比較して、市場での注目度が低いため割安に放置されやすいとされております。また今後の利益成長が期待できる企業が相対的に多く含まれるとされます。倒産リスクや流動性リスクに対するリスクプレミアムが要求されるともいいます。
小型株効果には疑問が残る
しかし、多くの支持とともに、疑問を投げかける論調も多く存在します。ゴールドマン・サックスは、小型株効果はマクロ経済変数(インフレ、実質成長など)の副作用であり、それらの変数の挙動は1980年以来に変化したため、現在は観測されないことを発見しております。また、上場廃止バイアス(一種の生存者バイアス)を見逃しているとする説は、学界で最も有力視されているものの一つです。
したがって、もしも貴方が個人投資家ならば、小型株効果の存在に Bet するとき、初めて小型株ETFを検討することになるでしょう。
米国の小型株ETF(IJRとVIOO)
IJR が第一選択でしょう
VTIやVOOといった主力ETFに、小型株を補完したいと考えるとき、2つのETFが選択肢に上がります(SBI証券など国内ネット証券で取り扱っている範囲において:2018年4月現在)。IJR(iShares S&P SmallCap 600 Index)
VIOO(Vanguard S&P Small-Cap 600 ETF)
いずれも連動指数は「The S&P SmallCap 600®」です。
本指数は、米国の新興市場を含む小型株を測るためのインデックスとして設計されており、採用銘柄には時価総額、取引高(流動性)、優良なコーポレートガバナンス体制などの条件があります。名称のとおり、約600社から構成されております。ここに両者の優劣はありません。
しかし上図の通り、①経費率、②ETF純資産において、ともにIJRが優れることが分かります。特にETF純資産の差は大きく決定的といえるでしょう。米国の小型株をまるっとバスケット買いするならば、現時点では「IJR」で決まりです。
ちなみに、VOOが、S&P 500に由来するティッカーであることを考慮すると、VIOOも同様に「6→VI」「0→O」で「VIOO」といったところでしょうか。こういうの好きです。
VBとIWMもあるけれど?
VBとIWMは中型・小型株のETF
小型株を検討している方が、稀に選択肢に入れるETFとして、VBとIWMがあります。しかし、これらは小型株のみならず、中型株まで広く組み入れるETFであります。
したがって、米国株式において、時価総額加重平均ではなく、大型・中型・小型株を均等に保有したいと考えるとき、有効なETFになるに違いありません。今回の記事では詳細を省きたいと思います。
VB(Vanguard Small-Cap ETF)
IWM(iShares Russell 2000 Index)
小型株と所感
私自身は、現在は小型株にオーバーウエイトする戦略を取っておりません。しかし、金融危機時においては、投資資金が過剰に流出し、真っ先にバーゲンセールがやってくる市場とも予想できます。落ちるナイフをつかむことは出来ませんが、万が一そのときが来たならば…積極的にアクションを起こしていきたい所存です。
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※ 本記事に用いた図は米Morningstar社のDateを基に管理人が作成しました。