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【VHT, XLV, IXJ】ヘルスケアセクターETFを比較...保有銘柄と経費率でみる。



ヘルスケアセクターETFを比較しよう

生命関連企業の株式バスケット

HIRA (@Open_JP) と申します。

今回の記事では、海外ETF、セクターETFのひとつであるバンガード・米国ヘルスケア・セクターETF(VHT)の関連知識として、日本で買えるヘルスケアセクターETFの比較を行ってみました。個人的には、ヘルスケアETF選ぶならVHTを買い付けるという判断をしております。

日本で買えるといいましても、多くの方が使っているであろう国内ネット証券首位、SBI証券の取扱を基準としていますので、あしからず(2018年2月現在)。

なお、以下に掲載情報は、各運用会社より公表されているホームページやファクトシート等のデータを引用、一部改変して作成しております。



VHT, XLV, IXJ を比較する

まずは3者の概要をチェック

具体的な比較に入る前に、各ETFの概要を列記したいと思います。いずれも海外ETFであり、グローバルメガファーマを筆頭に、医薬品、医療機器、ヘルスケア関連サービスを提供する多国籍企業を主な保有銘柄としております。

【VHT】バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF
2018年1月31日現在

ベンチマーク MSCI USインベスタブル・
マーケット・ヘルスケア
25/50 インデックス
経費率 0.10%
保有銘柄数 372
純資産総額 76億米ドル
設定日 2004年1月26日
上場取引所 NYSE Arca

【VHT】保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合
2018年1月31日現在

Johnson & Johnson9.5%製薬・医療機器
UnitedHealth Group Inc. 5.9%医療保険・薬剤給付管理
Pfizer Inc. 5.6%製薬
AbbVie Inc. 4.6%製薬
Merck & Co. Inc. 4.1%製薬
Amgen Inc. 3.5%製薬
Medtronic plc 3.0%医療機器
Gilead Sciences Inc. 2.8% 製薬
Abbott Laboratories 2.8% 製薬
Bristol-Myers Squibb Co. 2.6%製薬
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 44.4%

【XLV】ヘルスケア・セレクト・セクターSPDR ファンド
2018年2月22日現在

ベンチマーク ヘルスケア・
セレクト・セクター指数
経費率 0.13%
保有銘柄数 61
純資産総額 156億米ドル
設定日 1998年12月16日
上場取引所 NYSE Arca

【XLV】保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合
2018年2月22日現在

Johnson & Johnson10.9%製薬・医療機器
UnitedHealth Group Inc. 6.9%医療保険・薬剤給付管理
Pfizer Inc. 6.7%製薬
AbbVie Inc. 5.9%製薬
Merck & Co. Inc. 4.7%製薬
Amgen Inc. 4.1%製薬
Medtronic plc 3.4%医療機器
Bristol-Myers Squibb Co. 3.4%製薬
Gilead Sciences Inc. 3.2% 製薬
Abbott Laboratories 2.7% 製薬
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 51.9%

【IXJ】iシェアーズ グローバル・ヘルスケア ETF
2018年2月22日現在

ベンチマーク S&P Global 1200
Healthcare Sector Index
経費率 0.48%
保有銘柄数 101
純資産総額 16億米ドル
設定日 2001年11月13日
上場取引所 NYSE Arca

【IXJ】保有上位10銘柄と純資産総額に占める割合
2018年2月22日現在

Johnson & Johnson7.4%製薬・医療機器
Novartis AG 4.8%製薬
UnitedHealth Group Inc. 4.7%医療保険・薬剤給付管理
Pfizer Inc. 4.5%製薬
AbbVie Inc. 4.0%製薬
Roche Holding AG 3.6% 製薬
Merck & Co. Inc. 3.2%製薬
Amgen Inc. 2.8%製薬
Medtronic plc 2.3%医療機器
Bristol-Myers Squibb Co. 2.3%製薬
純資産総額に占める上位10銘柄の割合 39.7%





VHT, XLV, IXJ のベンチマークを比較

保有銘柄に大きな違いがある

これらのETF連動対象となるベンチマークが異なります。それゆえ、過去のパフォーマンスが異なることは必然です。まずは、ETFの選択における最重要の判断基準、ベンチマークの違いについて確認していきたいと思います。

VHT MSCI USインベスタブル・
マーケット・ヘルスケア
25/50 インデックス
XLV ヘルスケア・セレクト・
セクター指数
IXJ S&P Global 1200
Healthcare Sector Index

VHT のベンチマーク

VHTに採用されている、MSCI USインベスタブル・マーケット・ヘルスケア25/50インデックスは、米国のヘルスケアセクター株式銘柄で構成されています。

最大のポイントは、大型株、中型株、小型株を含んでいることであり、ヘルスケアセクター全体を幅広く網羅しています。それゆえ、保有銘柄数が多くなっているのだと推察されます。

ベンチマークの定義こそ異なりますが、全米株式のヘルスケア銘柄を幅広く組み入れていることから、VHTは、VTIからヘルスケア銘柄を抽出したETFと例えると、わかりやすいのではないでしょうか。小型株、バイオベンチャーの成長力まで取り組む可能性は魅力的です。

VHTの保有銘柄については、以下の記事にまとめております。
上位50銘柄を一覧してみよう:バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF

XLV のベンチマーク

XLVに採用されている、ヘルスケア・セレクト・セクター指数は、S&P500の一部です。S&P500のヘルスケアセクターを効果的に表象することを目標とします。したがって、保有銘柄がS&P500に採用されている大型株に限られていることから、XLV大型株の割合が高いのです。

そもそもですが、ヘルスケアセクターETFへの投資を検討している方は、ジェレミーシーゲル教授の著書にあるデータ、1957年以降、ヘルスケアセクターがS&P500をアウトパフォームしたという事実をご存知だと思います。

今一度の確認ですが、あれはS&P500、そのヘルスケアセクターに関する分析です。厳密にエビデンスを理解するならば、S&P500のヘルスケアセクターから成るXLVが第一選択になる可能性があります。

IXJ のベンチマーク

IXJに採用されている、S&P Global 1200 Healthcare Sector Indexは、S&P Global 1200に採用されている銘柄のうち、ヘルスケアセクターに分類される銘柄から構成されるベンチマークです。上の2つのETFとは異なり、米国のみならず、全世界を対象としております。

以下の図は、IXJのファクトシート(2017/12/31現在)より引用した国別の内訳です。日本企業も保有対象であり、武田、アステラス、大塚、第一三共、HOYA、テルモ、エーザイ、塩野義、小野薬品、シスメックス、オリンパス、中外製薬を組み入れております(保有比率順 2018/2/22現在)。



確かに、ヘルスケアセクターの中心地が米国であり続けることに、疑いの余地はありません。しかし、スイスのライン川沿いに向き合っている2人の巨人Novartis AGと、Roche Holding AGの存在を無視はできないでしょう。

また、フランスのパリにはSanofi SAがあり、イギリスのロンドンにはGlaxoSmithKline plc.が、ケンブリッジにはAstraZeneca plc.があります。

以下に、Evaluateのコンセンサス予測による、2022年の医療用医薬品、そしてバイオ医薬品世界上位10社をお示しします。むしろグローバルメガファーマの筆頭は、米国の外にいるんだということを、感じて頂けたらと思います。

バイオ医薬品については、以下の記事にまとめております。
買う前に学ぼう バイオ医薬品と市場:バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF


出典:EvaluatePharma® ワールドプレビュー2017 2022年への展望
第10版 2017年6月(日本語版 2017年10月)



VHT, XLV, IXJ の経費率を比較

VHT, XLV, IXJ 維持コストに差がある

VHT 0.10%
XLV 0.13%
IXJ 0.48%

ETFの選択において、もうひとつの重要な判断基準である、維持コスト、経費率を示しております。米国を対象とするVHTおよびXLVにおいては、ほぼ同等の水準となっております。

しかし、グローバルを対象とするIXJは、0.48%と躊躇してしまう水準にあります。

海外ETFを選好する多くの個人投資家は、そのメリットを経費率の低さに見出しているはずです。いかがでしょうか。確かに、グローバルセクター投資が実現できる手法として、IXJは、素敵なETFです。しかし投資対象を決断するフローにおいて、この数字はひとつの分かれ目となりそうです。

VHT, XLV, IXJ 純資産額に差がある

VHT 76億米ドル
(2018年1月31日現在)
XLV 156億米ドル
(2018年2月22日現在)
IXJ 16億米ドル
(2018年2月22日現在)

海外ETFで純資産を考察する機会は少ないと思いますが、差が認められております。規模が最も大きいのはXLVで、約1.6兆円です。国内のインデックス型の投資信託におけるマザーファンドの規模は数千億円ですから、セクターETFであるにもかかわらず、まさに巨大ですね。

これに対して、最も小さいのはIXJで、約1700億円です。日本の投資信託と比すると償還を懸念するレベルでは全くないかと思いますが、XLVと約10倍の差がある点は、言及しておきたいと思います。





ヘルスケアセクターETFを選ぶ

私自身の選択はVHT

冒頭にも述べましたように、ヘルスケアセクターへの投資を実施するのであれば、私はVHTがベストという判断をしております。

私は、国際分散投資を選考しております。本来であればIXJを選択するところかもしれません。しかし2つの理由からIXJを除外しました。

ひとつは経費率の高さ。やはり0.48%は高いです。

もうひとつは個人的な理由で勤務先です。私自身の勤務先、給料の貰いどころが、米国外の外資系製薬企業となっております。給与所得との分散です。選ぶなら競合を…いや、これは言い訳かもしれません。もしIXJの経費率が0.10%程度まで下がったら。再検討すると思います。

また、小型株までの幅広い分散が好きです。米国市場全体に対してもVOOではなくVTIを選択しております。小型株効果、アノマリーにオーバーウェイトするほどではありませんが、少しは期待してもいいのではないでしょうか。巨大企業に成長したバイオベンチャー、AmgenGenentechが生まれてきた米国の小型株市場を信じたいものです。

したがって経費率が同水準である以上、XLVではなくVHTを選ぼう、と判断しております。

ご覧いただきありがとうございました。

VHT, XLV, IXJ 過去パフォーマンス
(04年1月→18年2月22日)
出典:Yahoo Finance



VHT 赤:+219.46%
XLV 緑:+182.36%
IXJ 青:+140.84%
S&P500 灰:+147.75%
製薬会社のビジネスモデルについては、以下の記事にまとめております。
製薬会社の社員は個別株を推奨せず:バンガード・米国ヘルスケア・セクターETF
最新情報は運用会社ホームページをご確認ください
バンガード・インベストメンツ・ジャパン株式会社
ブラックロック・ジャパン株式会社
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