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【ノウハウ】海外ETFを用いたデュアルモメンタムのバックテストをしたいとき



デュアルモメンタムを深める

モメンタムをバックテストしたい

HIRA (@Open_JP) と申します。

前回の記事では、米国で出版された名著である「ウォール街のモメンタムウォーカー」に基づき、もっとも簡単な一例として、日本人の個人投資家にとって身近な MSCI kokusai index における絶対モメンタムのパフォーマンスを例示しました。

今回の記事では、複数の資産クラス間における相対モメンタムと、各資産クラスにおける絶対モメンタム併用するアルゴリズム=本命たるデュアルモメンタムについて、Webサイトを活用したバックテストの方法をご案内したいと思います。デュアルモメンタムそのものに関するエビデンス・学術的データ・活用方法等については書籍をご参照ください。





Webサイトを活用したモメンタムのバックテスト

PORTFOLIO VISUALIZER
を使いこなす

海外ETFを用いた投資におけるメリットのひとつは、海外の有益なWebサイトを用いて、自分自身で深く分析できることにあります。詳細を任意に設定できるのです。

本格的に海外ETF投資を行っている方は、有名な「PORTFOLIO VISUALIZER」をご存知だと思います。ポートフォリオのバックテストを簡単に行なうことができ、かつ詳細なデータを無料で得ることが出来ます。実はポートフォリオのバックテスト以外にも、様々なアルゴリズムのバックテストを行うことが可能で、その中に「デュアルモメンタム」が実装されています。

TOPページの「Timing Models」にある「Dual Momentum »」を選択して、デュアルモメンタム専用のページに進みます。


バックテストしたい条件を入力

続いて、専用ページで実際にバックテストをしたい条件を入力します。各項目は以下の通りです。「ウォール街のモメンタムウォーカー」を熟読された方なら、各項目が何を意味するのか、適当な数値はどのくらいなのか、直ぐに分かると思います。入力を終えたら、Run Test をクリックして実行です。

ちなみにバックテストができる期間は、選択した海外ETFにデータがあるファンド設定日以降となります。類似する古い銘柄があるならば、これに代替することも有用です。



デュアルモメンタムの一例

VTIとGLDのデュアルモメンタム

本サイトを活用した一例を紹介したいと思います。具体的に得られる結果をお示ししますので、どのようなデータが見られるのか、ご参考にしていただければと思います。

今回は、代表的な海外ETFであるVTIGLD、すなわち、米国株を用いたデュアルモメンタムのパフォーマンスを例示いたします。

《入力した主な条件》
VTI, GLD, Cash
Single Period
ルックバック期間:6ヶ月
保有アセット数:1
取引日:月末
ベンチマーク:VTI

結果

青色で表されたTiming Portfolioデュアルモメンタムの推移です。赤色が均等保有( VTI : GLD = 50 : 50 )の推移で、黄色がベンチマークとしてVTI 100%保有の推移を示しています。


興味本意で試したみたのですが、VTIGLDデュアルモメンタムも面白いですね。テスト期間においてVTI 100% バイアンドホールドを年率で1.5%ほどアウトパフォームしています。そして最大の特徴であるドローダウンからの神回避がバッチリです。ドローダウン最大値がまるで違います。バイアンドホールドは為す術もなく奈落に落ちていく様です。



本記事ではお示ししませんが、他にも詳細な情報が得られます。例えば、取引を何回行なったのか、何月何日に行なったのか、取引毎のパフォーマンス、各年あるいは各月におけるパフォーマンス、各レシオ、もちろんAlphaやBetaも一覧表として入手でき、PDFやExcelで出力可能です。





以上のように、簡単な条件入力だけで、デュアルモメンタムのバックテストを行なうことができます。最も強力なアノマリー(効率的市場仮説と矛盾するような金融市場の価格およびリターンのねじれ現象)として、近代金融学において大きな研究対象となったモメンタムというファクターに、少しでもご興味をもっていただけたら幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。