信託報酬だけでは不十分だ
実質コストを調べたい
HIRA (@Open_JP) と申します。投資信託を保有する上で、
最も気をつけなければならない手数料。
もはや周知の事実です。
投資信託に関わる機関。販売窓口である(a)証券会社。投資信託を作って投資家から集めた資金を運用する(b)運用会社。投資家から集めた資産を大切に保管・管理している(c)信託銀行。彼らに手数料を支払う必要があります。
私たち投資家から見て、
手数料は3つに大別されます。
特にチェックしなければならないのは、保有している間、ずっと間接的に基準価額から差し引かれていく「信託報酬」に違いありません。買うとき、売るときに関しては無料となっている投資信託が増えているだけあって、信託報酬の比較=コストの比較となっている現状があります。
しかし、証券会社のホームページに記載されている「信託報酬」の欄だけをチェックするのは片手落ちといわざるを得ません。また新設の投資信託を「信託報酬」がリーズナブルだからっといって直ぐに飛び移ってしまうことも愚かです。維持にかかる本当の費用である「実質コスト」をチェックし、本当に意味のあるコスト比較を行いたいものです。
実質コストはどこに載っている?
実際にかかった費用は後で分かる
投資信託の維持にかかる費用には、以下の4項目が定められております。
① 信託報酬
② 売買委託手数料
③ 有価証券取引税
④ その他費用
よく見かける①信託報酬は、維持にかかる費用の1項目に過ぎません。
①信託報酬は上述の(a)証券会社(b)運用会社(c)信託銀行に支払う手数料です。
そして②~④は、ある期間の運用報告として「交付運用報告書」に記載される費用です。詳細は省きますが、ファンドの運用に際して必要な売買手数料であったり、監査にかかる費用であったりします。
大事なことは、その期間の運用を終えた後に、
初めて報告される費用であるということです。
交付運用報告書をみる
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
具体例をみてみましょう。運用規模の大きい先進国株式の投資信託である"ニッセイ"の交付運用報告書から以下に例示します。2017年11月20日決算の交付運用報告書より引用したものです。この期間における信託報酬は0.215%であったことが読み取れます。証券会社のホームページに記載されている信託報酬そのものですね。
そして費用の項目が続き、
合計=実質コストは「0.315%」
であったことが分かります。
これが真の維持コストであり、基準価額から間接的に引かれて運用のパフォーマンスを押し下げる数字です。この数字で他の商品と比較すべきなのです。
たわらノーロード 先進国株式
続いて、同じく先進国株式の投資信託である"たわら"の交付運用報告書から例示します。2017年10月12日決算の交付運用報告書より引用しました。たわらの信託報酬は0.243%となっております。信託報酬だけを比較するとニッセイより高いことが分かります。
しかし、合計=実質コストは
「0.281%」となっております。
ということは、"ニッセイ"と"たわら"の実質コストの比較とすると、この期間では"たわら"の勝利ということができるでしょう。
まとめ
1万口当たりの費用明細
このように、交付運用報告書に記載されている「1万口当たりの費用明細」は、必ずチェックしたいものです。およそ1年毎に決算を迎え、交付運用報告書が発行されます。
ただし新設の投資信託では不足情報となっております。情報のない対象に投資することは私の投資ポリシーに反するため、新設ファンドは投資対象から外すようにしております。副作用情報が集積されていない新薬を避けることと同じです。
つみたてNISAの開始とともに、投資信託の低コスト化が進んでいるため、コスト比較の重要性は下がってきているとも考えておりますが、備忘録として残しておきたいと思います。
ご覧いただきありがとうございました。
具体例の2つの投資信託は、つみたてNISAで運用しております。
私の投資
つみたてNISAについて纏めております。
【非課税制度】なぜ「つみたてNISA」が、ここまで称賛されるのか。